投稿日:2022-10-06  更新日:2022-10-06

【使えるの?】災害時・緊急時の電気自動車(EV)の充電の問題と対策方法

こんにちは、EVライフの編集部です。

「電気自動車(EV)の購入を考えているけど、災害の時ってEVの充電ってどうするだろう?大規模停電になったら充電できなくなって、仕事とか買い物にもいけなくなっちゃうけど、大丈夫なのかな?」

こんな疑問に答えていきます。

本記事は、「【使えるの?】災害時・緊急時の電気自動車(EV)の充電の問題と対策方法」について紹介します。

災害時・緊急時の自動車利用の問題(ガソリン車編)

現在のところ、電気自動車(EV)が広く普及した状況した環境で大災害が起きたことがないため、災害時の電気自動車(EV)の問題点についての知見は少ないです。そのため、過去の大規模な災害時・緊急時の「一般的な自動車」の利用の問題について紹介します。
近年の大規模災害の1つに2011年の東日本大震災が挙げられます。大規模で大型の地震に加え、津波の被害が沿岸部を襲った、近年の中で最も大きな震災の1つと言えます。このような大規模災害の際における自動車の利用において、認識または顕在化した問題の調査報告書が内閣府より報告されています(自動車で安全かつ確実に避難できる方策)ので、当内容をもとに紹介していきます。

✔︎災害時の自動車利用の問題

⓪前提:震災時は止むを得ない場合を除き、原則、車を利用しない
①発生直後:スムーズに移動できない
②発生から数日:給油に時間がかかる、給油ができない

⓪前提:震災時は止むを得ない場合を除き、原則、車を利用しない

まずは前提として、災害時は止むを得ない場合を除き、原則として車を使用しないことで定められています。
上記の報告書でも報告されていますが、災害時の交通の方法に関する教則で次のように示されています。

交通の方法に関する教則
3-3 大地震が発生したとき 大地震が発生した場合、運転者は次のような措置を採るようにしましょう。
(2)車を運転中以外の場合に大地震が発生したとき ([改正前] 避難のために車を使用しないこと。)
津波から避難するためやむを徔ない場合を除き、避難のために車を使用しないこと。
• 津波から避難するためやむを徔ず車を使用するときは、道路の損壊、信号機の作動停止、道路上の障害物などに十分注意しながら運転すること。


ではなぜ車を使用しない方が良いのでしょうか。次に紹介していきます。

①発生直後:スムーズに移動できない

災害時・緊急時の自動車の問題の1つは「スムーズに移動できない」ということです。

まず、東日本大震災の際、避難時における車の利用率の調査結果が報告されています。


実に57%もの人が避難時に車を使ったことが分かります。また、参考までに北海道南西沖地震の際は42%、十勝沖地震の際は74%と、いずれも数十%のオーダーで避難の際に車が使用されているので、有事の際に車を使う必要があるのは現状として確かなようです。
次に、避難に車を使った理由について紹介します。



避難時に車を利用した理由としては「車で避難しないと間に合わないと思ったから」「家族で避難しようと思ったから」が多く挙げられています。一方、車での避難の際の避難路での問題は次のように報告されています。




避難路の問題にいついて、48%の方が「特になかった」と挙げています。
一方、問題に直面した人の中では「車の渋滞」「地震による道路の被害や道路上の瓦礫などが障害となった」などが多く挙げられています。また、その他の項目の中での大別では「停電による信号機の滅灯」「道路被害(隆起・液状化)」なども挙げられており、有事の際の車の移動は平時に比べて非常にリスクが高い状態にあることがわかります。

②発生から数日:給油に時間がかかる、給油ができない

また、災害時・緊急時の自動車の問題として、災害発生から時間が経ってからの問題として「給油に時間がかかる・給油ができない」ということも挙げられています。
レスポンスにおける特集「【特集クルマと震災】深刻なガソリン不足はなぜ起きたのか」では次のように紹介されています。


『震災により大きな被害を受けたのが燃料供給網だ。東北地方を中心に製油所や出荷施設に甚大な被害が及んだだけでなく、供給力不足により、首都圏エリアでもガソリンの買いだめ騒動がおこるなど社会現象にまで発展した。』

『被災地ではサービスステーション(SS)そのものが倒壊、または一部損傷したことでガソリンを購入できない状態となった。店舗自体に被害がなかったSSでも、道路の寸断や渋滞などによる交通事情の悪化から製品の配送が回らず、営業時間の短縮や給油量の制限など、各SSで対応をとった。』

『東北地方では移動の手段として自動車が重要な位置を占める。避難するためにも自動車が必要だった。自動車ユーザーは営業しているSSに殺到、数時間待ちの行列ができた。さらにSSに利用者が殺到したことで、暖をとるための灯油の入手も困難になった。数時間待ったあげく在庫切れにより購入できなかった例も多く、なかには暴力沙汰にまで発展したという事例もあった。「不眠不休で働いている従業員たちが、このような状況に置かれたことは、非常に残念」と当時の出光担当者は語っている。』

被災地だけでなく、首都圏でも深刻な燃料不足が叫ばれた。東日本の製油所の被害を受け、ガソリンが高騰または在庫不足になると判断したユーザーがSSに殺到した。首都圏近郊の大型SSだけでなく、中心部の小規模SSでも数十台から百台程度の行列が発生。SSでは店員を増員するなどして対応したが、在庫切れにより24時間営業の店舗でも閉店を余儀なくされる例も多く見られた。

震災直後から約1週間こうした状況は続いた。被害を受けなかった西日本エリアからの製品の転送や在庫の取り崩しなどにより、21日以降は首都圏、北関東の一部でのこうした状況は改善、平常化へと向かった。

4月15日時点で、宮城県で489店舗(全体の85%)、岩手県で402店舗(同87%)、山形県で362店舗(同99%)、福島県で611店舗(同90%)、東北地方全体で2647店舗(同92%)のSSが稼働している。

震災後の給油については、数時間の待ちなどが発生していたこともわかります。また、首都圏や北関東での給油不足の問題は震災から10日程度で緩和され始め、東北地域全体の92%でサービスステーションが震災以後1ヶ月程度で復旧されたことが分かります。

災害時・緊急時の自動車利用で想定される問題(電気自動車編)

災害時・緊急時のガソリン車の問題をもとに、電気自動車(EV)でも想定される問題を列挙します。
✔︎災害時・緊急時の電気自動車(EV)利用の想定問題

①発生直後:スムーズに移動できない
②発生がら数日:充電に時間がかかる

①発生直後:スムーズに移動できない

電気自動車(EV)であっても、ガソリン車と同様、劣悪な道路状況では避難がスムーズにできない点は変わりありません。
車の渋滞
・地震による道路の被害や道路上の瓦礫などが障害
・停電による信号機の滅灯
・道路被害(隆起・液状化)
などにより、思うように避難できないことが想定されます。

②発生が数日:充電に時間がかかる

ガソリン車でも問題になった燃料補給において、パブリック(外)における電気自動車の充電では、災害・緊急時は充電ができるようになるまでの時間に影響が出ると想定されます。

燃料補給における回転率は一般的に次のように言われています。
・ガソリン車:約3分/台
・電気自動車:約30分/台(急速充電想定)
そのため、1台あたりの燃料補給は、電気自動車(EV)はガソリン車と比べて10倍もの時間がかかります。

また、補給できる場所にも違いがあります。
・ガソリン車補給のSS数:29637箇所(2019年度)
・電気自動車(EV)の急速充電スタンド数:7700箇所(2020年5月)

参照:次世代自動車振興センター


つまり、電気自動車(EV)の急速充電スタンド数は、ガソリン車のSSと比較すると1/4程度しかありません。
一方、電気自動車(EV)のユーザー数はガソリン車のユーザー数と比べると、まだまだ少ないのが現状です。そのため、補給機数あたりの各種の自動車台数を比べると次のようになります。

補給機あたりの自動車の数*
ガソリン車:162.4台/補給機
電気自動車:26.3台/補給機
*計算における仮定)日本の燃料別の車の割合をガソリンを使う車:95%、電気自動車(EV):1%、その他:4%で仮定。日本の乗用車の総台数:2026万台として算出(参照)。ガソリン車のSSあたりの補給機数を4機として計算。一般社団法人日本自動車販売協会連合会が発表している「燃料別販売台数(乗用車)のデータから、2021年の日本の新車販売台数の合算は約240万台で、そのうちEVの販売台数は21,139台で割合だと約0.9%(参照)。

つまり、有事の際の補給機あたりの待ち人の数は、電気自動車(EV)の方が1/6倍で、少なくなることが分かります。

結論として、有事の際の待ち時間として、
・電気自動車(EV)では補給に10倍ほどの時間がかかりますが、
・補給機あたりの待ち人の数は1/6ほどになるので、
トータルで考えると
10✖️1/6=1.7倍
となり、多く見積もっても2倍程度の待時間が発生するほどであり、有事の際に電気自動車(EV)が全く充電できない状況ではない、ということが分かります(2022年10月現在)。

災害時・緊急時の電気自動車(EV)の充電の問題と対策方法

災害時・緊急時の電気自動車(EV)の充電の問題について「まったく充電ができない訳ではない」とはいえ、充電のために数時間など長時間待つのはつらいです。そのため、急速充電に頼らない電気自動車(EV)ならではの対策を紹介します。

対策:自宅用充電器を備えておく

結論として、有事の際でも電気自動車(EV)を問題なく充電するには「自宅用充電器」を設置しておく対策がおすすめです。
自宅用の電気自動車(EV)の充電器は、100Vまたは200Vの電源系から電気自動車(EV)を充電する設備(やケーブル)のことで約3万円から取り付けることができます。
具体的な充電器の情報は次の記事でまとめています。
関連記事:2022年版!自宅・家庭用の電気自動車(EV)の充電器の総まとめ【電圧・充電時間・費用】

震災時の電気の供給

「自宅からの充電ができれば確かに問題なさそうだけど、そもそも自宅に電気が来ないのでは?」
という疑問も生じるかと思います。

東日本大震災のときの給油関連または電気の普及については次のような結果が生じていました。
・ガソリンSSの復旧:災害から1ヶ月で東北全体の92%のSSが普及。
・電気の復旧:停電発生から3日で80%、8日で94%が解消。

対象の地域に差はありますが、SSの復旧と比べると、電気の復旧は早くに改善される可能性もあるので、ガソリン車同等に使うことを目標ラインにおくのであれば、遜色ない対応ができると想定されます。

まとめ:緊急時・災害時の電気自動車(EV)を知り、有事の際に焦らないようにしよう

本記事は「【使えるの?】災害時・緊急時の電気自動車(EV)の充電の問題と対策方法」について紹介しました。

改めて、電気自動車の災害時・緊急時の問題点と対策方法をまとめます。

✔︎電気自動車(EV)の災害時・緊急時の問題点
問題点①スムーズに避難ができない
問題点②ガソリン車よりも1.7倍ほど長い充電待ちが予想される

✔︎電気自動車(EV)の災害時・緊急時の問題点への対策
対策:自宅用充電器を備えておく

電気自動車(EV)は新しい車であり、慣れたガソリン車と比べると使い方や緊急時の対応など不安に感じる点もあるかと思いますが、当記事の内容があなたのEV検討の一助になれていたら幸いです。

読んで下さりありがとうございました。
それでは、良いEVライフを!

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